「き、如月…」
何が起こったのか全く事態を飲み込めない啓太が立ち去る彼に声を掛けたが、それはざわめきにかき消されて届かなかったらしい。
見知らぬ男の人と一緒に、どこかへ行ってしまった。
ぽつん…ホームに1人取り残される。
(えーっと、学校はどうするんだろう…担任に事情を話せばいいのかな…)
呆然と後ろ姿を見送りながら、そんな事を考えていた。
すると、
「君、吉山啓太くん…だね?」
「!!」
背後から名前を聞かれて、彼はドキッとした。
「は、はい…って、あ、如月のとこの…」
振り向いた先の見覚えある顔を、今度は間違えず認識する。
「河村です。いつも裕一郎が迷惑かけてすまないね」
「いえ、迷惑だなんてそんな…僕の方こそ如月に迷惑かけてる、かも」
何度か見かけたことはあったが、こうして間近で話すのは初めてで妙にドギマギする。
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