「実はここ数日、幽霊の目撃情報が多くてな」


「幽霊の、目撃情報？」


「ああ。場所は不特定なんだが、時刻だけは決まって夕暮れに限定されている。相談の内容は『道に佇んでいる女の霊を見た』とか『家の中を歩く足を見た』とか『部屋の壁の中に人影らしきものが消えていった』とか………とにかくその程度のもんで、特に何か悪さをするとかいう訳ではないらしい。あまり気にすることはないんじゃないかとは、言ってるんだが…」

「でも何か引っかかることがある？」

「うおっ、裕一郎は人の心が読めるのか？おれ、今回はお前にこの仕事依頼しようかな」

双瀬は子供のようにキラキラと瞳を輝かせる。


「おい、双瀬。勝手に話を進めるな」


ついに黙っていられなくなったのか、河村が横から口を挟んだ。

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