「あ、おい…裕っ!!」 開けっ放しのドアの向こうから、遠ざかっていく足音だけが聞こえ…そして静かになった。 (裕のやつ、何の事を言ってるんだ…まさか、昨夜の双瀬との会話を聞いてた?…いや、聞いたって内容の意味までは分からないだろう…) 河村は考え込む。 (俺は少しあいつの領域に踏み込み過ぎたかな…) 裕一郎の本音が今頃ジワジワと心に浸透してきて、戸惑いに伸びた前髪をかき毟った。 『大切な家族はある日突然、お前の前からいなくなっちまうかもしれないぞ』 双瀬の言葉が胸に痛い。 .