Darkness † Marker 4   【大禍時】


ヒタヒタヒタ…。

後をつけてくるのが気配で分かる。


《私が見えてるんでしょ…声が聞こえてるんでしょ…無視しなくていいじゃない? 》


ふわり…

風のように2人の前に回り込むと、薄ら笑いを浮かべながら霊は試すように呟く。

だが、彼はどんなに顔を覗きこまれ、話しかけられても無視を決め込んでいた。

むやみやたら霊と《関わり》を持ってはいけない。

それはこういう世界に身を置く者たちの間では、暗黙のルールだからだ。



「久司…」



不安げな少年の声。

「今は何も言うな。帰るぞ」

とてつもなく嫌な空気に、裕一郎は黙って従うしかなかった。

しばらく歩くと、彼は突然振り返り、アスファルトに指で文字を書く。


「道を逸れるものは、輪廻に戻ること叶わず…ここが境界線だ。霊道へ戻れ」


今度ははっきりと女の目を見て、彼は命令した。


《嫌よ。やっぱり見えてるんじゃない…あなたって意地悪ね》


「勘違いするな。あれはお前が思っている《黄泉人戻りの道》なんかじゃない」



(よみびと…もどり?)



河村の背中に庇われるように立っている裕一郎は、聞き慣れないその言葉を心の中で繰り返した。

河村はなぜこの霊がついてきたのか、理由を知っているようだ。

.