「!!」
気配に振り向いた河村の眼前ギリギリに、霊の顔があった。
(くそっ…こいつ)
予想外の動きにそっと唇を噛みしめる。
《道を塞いだのは…あなた?》
頭の半分が潰れた女。
怨めしげな目が、垂らして乱れた髪の間から覗いている。
ボロボロに破れ汚れた服…他人により、この世から無理やり切り離された未練と怨念を纏っている魂。
よりによって、たちの悪い霊とかち合ってしまったようだ…。
他の霊たちは裕一郎の力を一時的に封じたため引き返していったが、この女だけは相当な未練があるらしく、このまま大人しく帰ってくれそうになかった。
(仕方ない、今日の所は諦めよう)
河村は見えていないフリを装うと、裕一郎の腕を掴んで歩き出す。
《ねぇ…道を塞いだのはあなた?》
その背中に女はもう1度、同じ事を呟いた。
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