河村も霊感は強い方だが、霊道は周波数のようなものが違うのかハッキリと感知できなかった。
この辺りと言われて、注意深く探れば分かるのだが…。
「…あの辺りに、微かだけど違和感があるんだよ」
裕一郎は塀の向こうに見える1本の大木を指さした。
かなりの樹齢の桜の木が、広い庭の真ん中に植わっている。
「古い木には魂が宿るというが、この木は少し様子が変だな。老木というのもあるんだろうが、あまりにも生気がない」
「そんな事が分かるの?」
裕一郎は驚いて、隣にいる真剣な横顔の彼を見た。
「何となくだけどな。そう感じる」
笑って答えると、河村は小さな白い紙きれを懐から取り出し宙に放つ。
「式?」
「ここに霊道があるのは間違いなさそうだ。今からこいつに正確な場所を探させる。いけ、燕」
命じると、白い紙きれはたちまち鳥の姿に変わり桜の木に向かった。
滑らかな動きで飛ぶ様は本物と見紛うほど…紙片に命を吹き込んだだけのものには見えない。
堅い蕾をつけた木の周囲をくるりくるりと旋回しながら、式神は歪みを探し続ける。
何周目かを旋回した時、突然、桜の幹の低い位置に異変が起きた。
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この辺りと言われて、注意深く探れば分かるのだが…。
「…あの辺りに、微かだけど違和感があるんだよ」
裕一郎は塀の向こうに見える1本の大木を指さした。
かなりの樹齢の桜の木が、広い庭の真ん中に植わっている。
「古い木には魂が宿るというが、この木は少し様子が変だな。老木というのもあるんだろうが、あまりにも生気がない」
「そんな事が分かるの?」
裕一郎は驚いて、隣にいる真剣な横顔の彼を見た。
「何となくだけどな。そう感じる」
笑って答えると、河村は小さな白い紙きれを懐から取り出し宙に放つ。
「式?」
「ここに霊道があるのは間違いなさそうだ。今からこいつに正確な場所を探させる。いけ、燕」
命じると、白い紙きれはたちまち鳥の姿に変わり桜の木に向かった。
滑らかな動きで飛ぶ様は本物と見紛うほど…紙片に命を吹き込んだだけのものには見えない。
堅い蕾をつけた木の周囲をくるりくるりと旋回しながら、式神は歪みを探し続ける。
何周目かを旋回した時、突然、桜の幹の低い位置に異変が起きた。
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