その直後『なんじゃこりゃーっ』という叫びとともに、無理やり剥がした紙を片手に再び河村の元へ帰ってくる。


「何だよ、これは!!」


「お前、寺の坊主のくせに字も読めないのか?それは《大河内双瀬の出入りを禁ず》って書いてあるんだが…」


「あ、阿保かっ。おれは何で出入り禁止なんだって聞いてんだ」


ガッとイスを自分の方に向けると、唾がかかりそうなくらいの至近距離まで顔を近づけて、双瀬は抗議した。

そんな彼を見ても表情ひとつ変えず、河村はわざとらしいタメ息をついてみせると、


「だってお前の仕事って全部厄介事なんだもーん」


べぇっと舌を出す。


「ちゃんと仕事として依頼してるだろーがよ。大体、霊障扱ってるんだから厄介なのは当然じゃないのか、ええ?」

「そこが間違ってるっていい加減気づけよ。俺が寺に助けを求めるなら分かるが、坊主のお前がどうして霊障事務所に相談しに来るんだ…」


「う…それはだな…」


痛いところを突かれて、双瀬は言葉を詰まらせた。

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