「もしかして、それが今回の騒ぎ?」
「…に、この霊道が関係してる事は確かだろう。流れ的には北東から南西の方角に向っている霊道が、なんらかのアクシデントによって道を断絶されて別の道と繋がり、今までと違う通り道ができた…または、何かがそれを妨げているから通れず、一時的に霊が道から溢れたか…」
「じゃあ、オレが違和感のある場所と思ったのは、霊道のポイントである可能性があるって事?」
「そういうこと。普通はたかが霊道1本が断絶されたくらいでこんな騒ぎにはならないから、今回よほど重要なポイントに《何か》が起こったんだろう」
そこまで聞いて、裕一郎はふと眉根を寄せた。
「でも、待って。じゃあ、啓太が見た朝の幽霊は何だったんだ?」
「今までそこにいた地縛霊でないとすれば、たまたま霊道から外れ戻りそこねたものが教室にいたんだろうな。開くまでの時間は校内を彷徨うかもしれないが、時間がくればいなくなるはずだから、心配はしなくていい。お前が見た暗い空間は、閉じた霊道と考えてまず間違いないだろう」
「あれが…オレの開く闇とは、また種類が違うんだね」
異なる闇の性質に、裕一郎の声が沈む。
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