Darkness † Marker 4   【大禍時】

「お前は依頼人だ、大人しく寺に戻ってお経でもあげてろ」

最後に携帯を胸ポケットに入れると、双瀬にも帰るよう促す。


「おれも一緒に連れてけよ」


「嫌だ」


即答。


「うわっ、何だよそのキッパリとした断わり方は!!」


軽くショックを受けた彼は、髪を両手でバリバリと掻き毟りながら身を捩った。


「当然だろ?霊が祓えない坊主なんて、ただの足手まといだからな」


(第一お前と居たら、うるさ過ぎて出るもんも出なくなる)


河村は心の中で補足する。


「くそーっ」


気にしている事を面と向かってハッキリ言われ、双瀬はそれ以上返す言葉が見つからず悔しがる。


「……分かったよ、今日の所は大人しく帰ってやる!!」


どこかで聞いた事のある台詞を残し、仕方なく事務所を出て行きかけたその背中に河村は『ちょっと待て』と呼び止めた。

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