「どの辺りに居たんだ?」
「僕が教室に入って来たら、今いるこの場所にその幽霊がぼんやり立ってたんだ。変だなとは思ったんだけど、誰も何も言わないから知らないフリして自分の席についたんだよ。でもやっぱり気になるだろ?だからそっと振り返って見たんだ。そしたらそいつはゆらゆら歩きだして教室内を斜めに横切り、教壇の左側に立ち止まったまま動かなくなった…そこへ如月、お前が登校してきたって訳だ。…な?こんなにはっきり見えてて、見間違いはないだろ!?」
信じてくれよと、啓太は裕一郎にすがりつく。
「………」
その手をゆっくりとほどいた彼は、教壇に向かうと最後に霊が目撃された場所に立った。
「おい、如月…」
ビクビクしながら、啓太も後をついて行く。
「悪い。ちょっと離れててくれる?」
彼に背を向けたまま言い放つと、裕一郎は辺りを見回した。
確かにここに立つと、空気に混じり他とは違う《残留思念》のようなものを感じる。
そっと右手で目の前にある、作りつけの本棚に触れてみた。
(?…何だろ、この感じ)
暗い歪みのようなものが薄らと見える。
それは奇妙な空間としか言い表せなかった。
今までこんなものを、教室にいて感じた事はない。
となれば、新しく出来たものだと思われるが…。
.
「僕が教室に入って来たら、今いるこの場所にその幽霊がぼんやり立ってたんだ。変だなとは思ったんだけど、誰も何も言わないから知らないフリして自分の席についたんだよ。でもやっぱり気になるだろ?だからそっと振り返って見たんだ。そしたらそいつはゆらゆら歩きだして教室内を斜めに横切り、教壇の左側に立ち止まったまま動かなくなった…そこへ如月、お前が登校してきたって訳だ。…な?こんなにはっきり見えてて、見間違いはないだろ!?」
信じてくれよと、啓太は裕一郎にすがりつく。
「………」
その手をゆっくりとほどいた彼は、教壇に向かうと最後に霊が目撃された場所に立った。
「おい、如月…」
ビクビクしながら、啓太も後をついて行く。
「悪い。ちょっと離れててくれる?」
彼に背を向けたまま言い放つと、裕一郎は辺りを見回した。
確かにここに立つと、空気に混じり他とは違う《残留思念》のようなものを感じる。
そっと右手で目の前にある、作りつけの本棚に触れてみた。
(?…何だろ、この感じ)
暗い歪みのようなものが薄らと見える。
それは奇妙な空間としか言い表せなかった。
今までこんなものを、教室にいて感じた事はない。
となれば、新しく出来たものだと思われるが…。
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