「見間違いって事はないのか?オレが教室に入った時には、何も感じなかったから…」

彼だけは裕一郎が霊を見る力を持っていることも、事務所のことも知っている唯一のクラスメートである。

だからこうして聞いてきたのだろうが、残念ながらそれは本当のことだった。


「そんな…じゃあ、あれは何だったんだ…」


啓太はブルリと身震いをする。

その怖がり様に少し気の毒さを感じた彼は、とりあえず話を聞いてみる事にした。


「一体どんな幽霊を見たんだよ?」


「それがセーラー服姿の女子で、長い髪を左右2つに分けて結んでるんだ。顔は……俯いてたから暗くてよく見えなかったけど、表情が分からない分ゾッとしたよ」



「セーラー服…」



この学校は男女共にブレザーなので、確かにそれは《見知らぬ生徒》としか言いようがない。

あからさまに服装の違う生徒がいれば、嫌でも目につくし見間違うはずはないだろう。

そうなると彼が見た人物は本物の幽霊ということになるが…。

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