「よいしょ」 荒嶋くんはそんな私の体をいとも簡単に持ち上げると、屋上のドアに向かってゆっくり歩き出した。 「………あのさ」 「ん?」 「私……重たくない?」 「全然。むしろ、軽いよ。それに俺、バスケで毎日鍛えてるんだから、こんなのどうってことないよ」 荒嶋くんから“重くない”という返答が返ってきて、少しホッとする。 “重い”ってはっきり言われたら、それはそれでショックだからさ。 「……松岡さん」 屋上のドアの目の前まできたところで、荒嶋くんが急に足を止めた。