いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。



貧乏揺すりが激しくなって、こっちまでイライラしているのが伝わってくる。


「………なに、その言い方!」


一歩、私と彼女の距離が縮まった。


「松岡さん、男に興味なんてないって顔してるけど、かげでは男をたぶらかして遊んでるんじゃない?」


また一歩、彼女が近づく。


「春斗のことだって、どうせそうやってあんたが誘ってるんでしょ?」


とうとう、私と彼女の距離がゼロになった。


「汚い女。あんたなんかに、春斗は渡さないんだからっ!」


その叫びと同時に、私の体は一瞬宙を浮いて突き飛ばされた。


「……いたっ」


右足に、鋭い痛みが走る。