視界の片隅に、ひどく傷ついた荒嶋くんの顔が映る。 ……私、最低だ。 優しくしてもらったのに、それをないがしろにするような言い方をして。 荒嶋くん、ごめんなさい。 私は心の中でそう謝ってから、荒嶋くんの腕から自分のスクールバックを取り戻すと、走って教室から飛び出した。 「あの子……松岡さん、だっけ?性格悪くない?助けてもらった相手に、お礼も言わないなんて」 「しかも、相手は荒嶋くんなのに。ちょっと可愛い顔してるからって、調子に乗らないでよね」 教室から出る直前、そんな言葉が耳に入る。