いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。

『……先生、私、今日はもう帰ります。ごめんなさい………』


私は動揺した心を隠すように、作った笑顔の仮面を貼り付ける。


『は、春斗も、またね』


そしてそのまま春斗にぎこちなく手を振ると、私は急いで教室を後にした。


『心咲！』


私を引き止める春斗の声が大きく廊下に響いたけど、私はそれを無視してひたすら走る。


春斗に、なんて弁解しよう。


私の頭にあるのは、ただそれだけ。


………ううん、もうきっと無理だよね。


春斗は、少なからず気付いていたはずだ。


私が、学校への道のりを忘れたあの日から。