無様に助手席へと詰め込まれる私。
これじゃ拉致と変わらない。

いってらっしゃいとばかりに私に手を振る茜は、先生からもらった缶コーヒーを開けると、グビグビと豪快に飲み干した。

窓越しに睨んでみるけれど、茜が全くの別方向を見ていて話にもならない。


そして――……


「しゅっぱーつ進行!」


先生の幼稚な掛け声とともに、車が発車してしまった。

一体どこへ行くというのか。
悔しいほどに澄み渡った青空が、どこまでも広がっていた。


「怒ってるのか?」

「別に怒ってなんかいません。呆れてるだけです」