ルームシェア~7人の王子様~



「うそ……」


それは、よく見慣れた男性だった。

右目の包帯。
顔が隠れるほど長く艶っぽい黒髪。
やけに整った顔。


見間違えるはずもない。

幕末喫茶で1番多くの女性を相手にしている随一のイケメンは、
あの無口無表情の一ノ瀬先輩だった。



「なに?好みだった?」


有紀に声をかけられる。


「あ…うん……」


そうは答えたものの、
全然状況が理解できない。


そこにいた一ノ瀬先輩は、いつもと変わらない無表情だったけれど、時折お客さんに笑って見せていた。

そして、綺麗な艶のある黒髪と端正な顔がとても着物と似合っている。


でも、なんで一ノ瀬先輩が…?


影でこっそりバイトしている子もいるけれど、基本うちの学校はバイトを禁止している。


しかも、あの一ノ瀬先輩が接客業なんて……。

それも、あの純粋な一ノ瀬先輩が女性相手に接客をする喫茶店に…。

あの一ノ瀬先輩が、
女性客に囲まれて……。
信じられない。

どうなっているの…!?