『いらっしゃいませー!』
幕末喫茶は思った以上に普通の喫茶店だった。
店員さんが着物を着ていて、やたらクオリティの高いコスプレをしているイケメンということ以外は、だけれど。
全て座敷で、いかにも幕末という雰囲気だった。
ついでにいうと、店内は女性客で大変賑わっていて、店員さんと写真やチェキを撮るお客さんもたくさんいた。
店員さんを呼び止めて話している客もいるので、結構自由な感じだ。
中には、まるで超有名人にあったかのようにはしゃぐお客さんの姿もあった。
熱狂的なファンなのかな…。
すごいな……。
そう思っていると、
1人の茶髪の店員さんが声をかけてくる。
「お2人ですか?」
その店員さんはとても可愛らしい顔をしていて、小学校低学年の美少年をそのまま大きくしたみたいな方だった。
「そ、そうです」
有紀が緊張した面持ちで告げる。
「こちらへどうぞ」
笑顔でそう告げ、着物を翻した。
ふわりと優しい香りがする。


