ルームシェア~7人の王子様~

「あの…あんまりこういうのって良くないんじゃ…」


私は、看板の裏に身を小さくして隠れる2人に声をかけた。

駅前なので、かなり目立つ。

私たちは、あれからすぐに一ノ瀬先輩の後を追った。

一ノ瀬先輩は駅まで歩いてくると、
そのままどこかを目指して歩いているようだった。


「先輩も気になってたじゃないですか〜」


「い、いや…まぁ、それは……」


気にならないと言ったら嘘になるけれど…流石に後をつけるのもどうかと思う。


「って…あれ…?蓮先輩いなくなって…」


さっきまでいたところには、
一ノ瀬先輩は歩いていなかった。


「蓮のやつどこいったん─────」


「俺がどうしたんだ?」


「うっお!?」


背後から声が聞こえて、3人で一斉に振り向いて見上げると、カバンを肩にかけて見下げている一ノ瀬先輩がいた。

先輩は涼しい無表情をしていて、
いつもと変わった様子はない。


「お、おう。奇遇だなぁ〜」


悠希が動揺を隠せないように言う。


「……そうだな」


先輩は、心の内を読ませない言い方をして、黙ってしまった。


「俺たち、もう行きますんで!」


高城君はそう言って立ち上がると、
私と悠希の腕を掴んで走り出した。


「うわっ、ちょっと!」


私は諦めて前を向いて高城君に引かれながら走った。


私達が走り出してからも、一ノ瀬先輩はしばらく私達の背中を見守っていた。