ルームシェア~7人の王子様~



すみれ荘までの道を2人で歩いていると、頭上から、ポツポツと雨が降り始めた。


「あ、雨……」


私達は傘は持ってきていない。


「通り雨か…」


琉生君は私に手を差し出してくる。


「ん、雨宿りできるとこまで、走ろう」


その言葉に私は小さく頷いて、自分の手を重ねた。


暖かい琉生君の体温が伝わってくる。


雨宿りをしてからすぐに、
雨は上がった。

それでも私達は、
手を離さなかった。


ゆっくりすみれ荘への道を、
手を繋いだままで歩いた。

大きな手から伝わってくる熱に、
私はドキドキしたまま歩みを進めた。


「恋人…か……」


隣で琉生君がポツリと呟く。


「え?なんて?」


「いや、なんでもねぇ」


その声と同士に、繋いだ手が、ギュッと握り返させる。

また、ごまかされてしまった。

でも、向けられ笑顔は、あの時と同じ笑で、私は何も言い返すことができなかった。