ルームシェア~7人の王子様~

「くっそ〜。すみれ先輩のファーストハグが…」


寮に帰ってからも、
高城君はずっとそんなことを言っていた。


「ファーストハグって……」


私は琉生君に抱きしめられたことを、
なるべく思い出さないように言う。

思い出すと、恥ずかしいから…。


「でも、付き合ってる訳じゃないんですよね?それなら俺、本気ですみれ先輩のこと、手に入れてみせますから」


高城君は人懐っこい笑みを浮かべて言う。


確かに、誰とも付き合っているわけじゃないけれど、これからも、誰とも付き合うつもりはない。


「本当にみんな、すみれさんのこと好きすぎだろ…」


ボソりと言った雨宮先輩の声に、
悠希が反応する。


「そう言ってる凛空も、本当は気が気でなくてしょうがないくせに」


「はぁ?…俺は、別に……」


雨宮先輩の言葉の語尾がどんどん弱くなっていく。


助けを求めようと、一ノ瀬先輩に目を向けるけれど、
先輩は真っ赤な顔で私から視線を逸らした。


なんでぇ!!!


今度は、いつも仲裁に入ってくれる鈴屋君に助けを求めた。


「す、鈴屋君…」


そう声をかけたけれど、鈴屋君は、


「俺も…気になります…」


そう呟いた。


なっ、なんで!?


半分諦めて架神君を見るけれど、案の定、キラキラした目でやり取りを見ていた。天然だからな……。