「あいつ、女の子に耐性ないのに大丈夫なのか」
悠希が私の背後で言う。
南條君は少し困った笑顔で、その女の子達の輪を切り抜けて、こちらにやってきた。
あれ…?
もう女の子達は大丈夫なのかな?
そう思っていると、南條君は私とほとんど距離がないところまで歩いてきて、
ピタリと止まって私を見下げた。
その顔は、今まで見た南條君の表情からは想像しきれないほどの優しい笑だった。
私は南條君を見上げて、
その優しい笑に見入った。
すると、ゆっくりした動作で、
私の背中に手を回す。
気づいた時には、南條君の胸に顔が埋まっていて、
私を南條君の香りが包んでいた。
南條君の心臓の音まで聞こえそうなほどに、抱きしめられていて…。
うそ……。
なにこれ…。
「な、南條君…」
南條君の胸の中で、
聞こえているか分からない声を上げる。
「んな!!?」
状況を飲み込んだらしい、女の子を含んだ周りのみんなが、声をあげ始めた。


