"ばあちゃんを超えるのが、俺の夢"
そう言っていた南條君を思い出す。
すごいよ…南條君…。
知らず知らずの間に、
瞼に涙が溜まってきた。
人の心をこんなにも動かせるなんて…すごいよ…。
"恋人に宛てて書いた曲"
前までは、なんとなくそうなのかもって思っていたけれど、今ならすごく分かる気がする。
ゆったりした曲調に始まり、
途中で激しく荒くなる。
そして、最後は儚く可憐に終わる。
南條君の演奏が終わると、
一瞬会場が静寂に包まれる。
息を呑む演奏だった。
「ブラボー!!!」
審査員の1人が立ち上がり拍手をした。
それに釣られるように、会場中の人々が立ち上がり、口々に歓声をあげる。
今日1番の盛り上がりだった。
すみれ荘のメンバーも立ち上がる。
私は涙を拭いながら精一杯拍手をした。


