しばらく2人で待っていると、
遠くから南條君と高城君らしき人が歩いてきていた。
「南條君!高城君!」
私はその姿を確認すると、
一目散に駆け寄った。
途中で麦わら帽子がふわりと宙を舞ったけれど、私は気にせずに走り続けた。
駆け寄ってきた私を見ると、
南條君はふっと笑った。
「どんだけ俺に会いたかったんだよ」
冗談めかした言い方だったけれど、
私は首を縦に振った。
「うん、待ってた」
私はそう言うと、
大きく深呼吸をした。
「南條君……コンクールの舞台で…弾いてくれますか…?」
恐る恐る南條君を見上げた。
彼は自信ありげな顔で、
「あぁ。世界まで行ってやる」
そう言った。


