「すみれさん、熱中症にならないようにね」 雨宮先輩がそう言いながら、 麦わら帽子を私の頭にかぶせる。 今日は7月下旬ということもあって、 とても陽が照っていた。 「ありがとうございます」 雨宮先輩は、私の隣に立って、 道の向こうを見つめた。 「よっぽど琉生達が帰ってくるのが嬉しいんだね」 先輩が微笑しながら言う。 「嬉しいです。すごく…。先輩もでしょう?」 「………そうだね」 先輩は私の目を見てそう言うと、 また遠くを見つめた。