~ out side ~
空港の外で琉生の姿を見つけた千尋は、
ジャージのチャックを開けながら琉生に声をかけた。
「おい、先輩」
汗を拭くと、そう吐き捨てる。
「千尋!?……お前なんで…」
琉生もキャリーバッグを引く手を止めると、驚いた顔で千尋を見据えた。
「スポ薦で高校入った俺を舐めないでください」
「お前、寮からここまで走ってきたのかよ…」
琉生は若干引き気味で目を細めた。
「見送りとか、そんなんじゃないですから」
「あぁ。分かってる」
琉生は大体の察しがついたように、
はぁ、と息をつく。
「じゃあ、これだけ言えば分かりますよね。好きな人を泣かせて、どうするんですか?」
「ッ……」
一瞬、何を言っているのか分からなくなり、声にならない声をあげた。
「帰りましょう」
短く告げ、手を差し延べた千尋に、
冷たく言い放つ。
「…もう、コンクールには出ねぇって言ってんだろ」
その言葉に、
千尋の手がビクッと震える。
「どうして諦めるんですか?俺、先輩がご両親と話してるの聞いちゃったんです。コンクールを優先させろってご両親、言ってましたよね?なんで諦めるんですか?」
千尋が言い放った言葉に、
琉生は意を決したように告げた。
「ピアニストでいる時は、いつもあの人の孫、あの人の孫って言われてた。だから、金賞をとって、超えてやりたかった。孫なんかじゃなくて、ピアニストの南條琉生として」
「じゃあ、なんで!?」
千尋は琉生の言葉に一本前に踏み出した。
空港の外で琉生の姿を見つけた千尋は、
ジャージのチャックを開けながら琉生に声をかけた。
「おい、先輩」
汗を拭くと、そう吐き捨てる。
「千尋!?……お前なんで…」
琉生もキャリーバッグを引く手を止めると、驚いた顔で千尋を見据えた。
「スポ薦で高校入った俺を舐めないでください」
「お前、寮からここまで走ってきたのかよ…」
琉生は若干引き気味で目を細めた。
「見送りとか、そんなんじゃないですから」
「あぁ。分かってる」
琉生は大体の察しがついたように、
はぁ、と息をつく。
「じゃあ、これだけ言えば分かりますよね。好きな人を泣かせて、どうするんですか?」
「ッ……」
一瞬、何を言っているのか分からなくなり、声にならない声をあげた。
「帰りましょう」
短く告げ、手を差し延べた千尋に、
冷たく言い放つ。
「…もう、コンクールには出ねぇって言ってんだろ」
その言葉に、
千尋の手がビクッと震える。
「どうして諦めるんですか?俺、先輩がご両親と話してるの聞いちゃったんです。コンクールを優先させろってご両親、言ってましたよね?なんで諦めるんですか?」
千尋が言い放った言葉に、
琉生は意を決したように告げた。
「ピアニストでいる時は、いつもあの人の孫、あの人の孫って言われてた。だから、金賞をとって、超えてやりたかった。孫なんかじゃなくて、ピアニストの南條琉生として」
「じゃあ、なんで!?」
千尋は琉生の言葉に一本前に踏み出した。


