ルームシェア~7人の王子様~


深夜、寝付けずにいると、
部屋の扉が不意にガチャリと音を立てて開いた。


大きな人影が私に近づいてきた。


「佐伯…起きてる…?」


「南條君…?」


人影の表情は伺えないものの、
声と佐伯という呼び方から、
人影は南條君だということが分かった。


「こんな時間に悪い。明日早ぇから、今言っとかなきゃと思って…」


「ん…?」


私はベットから立ち上がって小さい電気をつけた。

最後に見た姿と同じ、
元気なさげな南條君がいた。


「コンクールは、ごめん。お前が一番応援してくれてたから…」


「私は…全然。本人は南條君だから…。ただ………」


私は言いかけたところで口を噤んだ。


これを言って、どうするのだろう。

これを言って、どうなるのだろう。

これを言ってしまったら、彼の気持ちが揺らいでしまうかもしれない。


コンクールを諦めた、諦めざるをおえなかった彼の気持ちを…踏みにじることになってしまうかもしれない。


だけど、
伝えたい。
後悔して欲しくはない。
後悔は、したくない。


私は、思い切って、
言葉を口にした。