結構個性が強そうな寮生たちだけど、
私、大丈夫かな…。


そんな私の心を汲み取ったかのように、
雨宮先輩が言った。


「ごめんね〜、初日からこんなんで。でも、みんな仲がいいから、きっとすみれさんも楽しいと思うよ」


雨宮先輩の大人びた笑顔に、
私は胸をなでおろす。


悠希を支えてきた雨宮先輩が言うのなら、きっと間違いないだろう。


楽しい高校生活を送れるはずだ。


「あ、でも気をつけてくださいね。僕たちみんな彼女いないから」


高城君が、思い出したかのように私にいう。

私はキョトンと目を丸くした。

彼女が……いない……?


「食べられないように、自分の身は自分で守ってください!」


ハッとして、私は口を押さえた。
たっ、食べるって……!?

その時、
隣に座る一ノ瀬先輩が、
ビクッと肩を揺らした。

先輩の見上げると、
顔を真っ赤にして猫に顔をうずめている。


「あぁ!千尋!蓮の前でそっち系の話はダメってあれほど言ったのに…」


焦る雨宮先輩。
私から目を逸らしていく寮生たち。

えっ?えっ?


「ええええ!?」


私の叫び声が、
新居であるすみれ荘に響く。


前言撤回。

やっぱりすみれ荘での生活は、
不安で不安でしょうがないです。