ルームシェア~7人の王子様~



「いで!?」


「バーカ。全部顔に出てんだよ」


私はおでこを押さえる。

南條君はそれだけ言い残して、
踵を返して行ってしまう。


「まって!」


私は真っ赤な顔で我に返って、
南條君を呼び止めた。


「ん…?」


「バカなのは、お互い様だから!」


今度は南條君が面食らったようにポカンとする。


「おめーに言われたくねぇよ」


また行ってしまいそうな彼に、
私はポケットに入れていたものを投げつけた。


「これ、受け取って。じゃあ、また明日」


私は返事を聞く前に部屋の扉を開ける。


「本当、調子狂う…」


ボソッと言ったのが分かったけれど、
私は振り返らずに部屋に入った。


南條君に投げつけたのは、すみれ荘のみんなに書いてもらったメッセージを詰めた、手作りのお守りだった。


「頑張って…」


私は聞かれないよう小さく呟いた。