「いや〜、琉生先輩も変わりましたよね〜」
久しぶりに全員で囲んだ夕食で、
高城君が言った。
「なんだよ、突然」
南條君が、呆れた顔で高城君に返事をする。
「なんて言うんですかね…。すみれ先輩
が来てから変わりましたよね。恋の曲とかよく弾いてますし」
目の前の南條君がピタリと固まった。
「ひ、弾いてねぇよ」
早口で否定する南條君。
動揺があからさまに見て取れた。
「コンクールに弾く曲も…作曲者が恋人に宛てて書いた曲…」
隣で一ノ瀬先輩がボソりと言う。
あまり自分から会話に入らない一ノ瀬先輩が話すのは、なかなか珍しい。
先輩に看病してもらった日から、
少し話すようになったけれど、
そこまで前と関係が変わったわけじゃない。
先輩の方も、相変わらず眼帯をつけていて、強いていうならば、少し笑ってくれるようになったことぐらい。


