高城君といえば、
悠希や架神君に歯向かうことが多かった。

えげつない悪口を、
皆が止めるまで永遠に言い続ける。


一番すごいのは、
高城君と南條君の言い合いだった。

ドS俺様な南條君と小悪魔な高城君は、反りが合わないのか本気ではないものの、よく互をバカにしあっていた。


だけど最近は、
南條君のピアノのコンクールが近づいてきて、
ピアノのレッスンに出かけたり部屋に篭もりがちなことが多くなったために、
その言い争いも少なくなった。


寂しくはあるものの、
私は、私達は全力で南條君を応援しているので仕方のないことだった。


「琉生も…変わったよ…」


隣で雨宮先輩がボソりと言った。


「え?」


私が首を傾げると、
雨宮先輩は僅かに笑いながら言った。


「ううん、なんでもない」


先輩の言葉が気になったものの、

私達はそのまま、
しばらく続く悠希と高城君のどんぐりの背比べを見守っていた。