「すっ、鈴屋君…!?」


「すみません…少し…だけ」


鈴屋君はそれだけ言うと、
私の首元に頭を預けた。

私は、鈴屋君の胸に顔をうずめる形になる。


いろいろまずいと思う……


焦ってあたふたするも、
思いの外がっちりした鈴屋君の腕がギュッと私を抱きしめる。

そういえば、水泳部に入っているって言ってたっけ…。


「す…鈴屋…君…」


しばらくすると、
だんだんと抱きしめられた腕の力が緩められていく。


私は鈴屋君の胸から顔を上げた。

すると、私の首元では鈴屋君が寝息を立てている。


あれ…?
もしかして寝ぼけていたの…?


ハァと安堵の息をつくと、
私は鈴屋君をそっと横に寝かせた。

普段はクールな鈴屋君が、
今は無防備に寝息を立てていいて、
とても可愛く思える。


「ゲーム…付き合ってくれてありがと」


私は鈴屋君の髪を少しいじると、
ボソりとそう呟いた。


その呟きは、私と鈴屋君しかいない空間に響いて消えた。