「なぁ」


不意に声をかけられる。


「ん?」


「お前、誰が本命なわけ?」


私は叫びたい気持ちを我慢して、え?と返す。


「悠希さんとか、この寮のみんなの中で…」


今度は噴き出したい気持ちを我慢する。


「ご、誤解だから!別に、誰が本命とか…その…ないから……」


恥ずかしくて語尾をゴニョゴニョ言っていると、南條君の顔が近づいてくる。


「なっ、なに!?」


「そうか。そうか…」


南條君は、心なしか少し嬉しそうに繰り返すと、私に1枚の紙を渡してきた。