「すごい、素敵な曲だね。いつからピアノしてるの?」 気になって聞くと、 南條君は意外としっかり答えてくれた。 「2歳から。ばあちゃんがそこそこ有名なピアニストだったんだ。その影響で」 「そうなんだ。すごいなぁ…もっと、聴いてもいい?」 その問に南條君は、 微かに笑って見せた。 「いいよ。入れば?」 南條君が部屋の扉を一人分大きく開けてくれる。 私はハスミンに別れを告げて、 大きく広げられた扉の中に足を踏み入れた。