ルームシェア~7人の王子様~



「…他人と違うと、周りの目は厳しいからな……」


先輩はボソリとそう言って、
ワイシャツを羽織る。

触れてはいけないと思う。
だけど、止められなかった。


「素敵だと思います…私」


先輩は片目を大きく見開く。


「個性は人それぞれだし、誰になんと言われようと、それが自分自身だと思うんです」


私の言葉に、先輩はふっと息をはいた。


「お前はすごいな…。俺にはそんな勇気はない…。母親がフランス人で、小さい頃は、よくイジメられたりもした。素敵だなんて、言われたことないな…」


先輩は遠い昔を思い出すように言う。


「ここの寮のみんななら、絶対、素敵だと思ってくれるはずです」


この寮では、自分を隠すことのない、ありのままの一ノ瀬先輩でいてほしかった。

心を許せる、そんな関係でありたいと思った。