「ただい ─────」


「すみれぇぇえええ!」


「ちょっ!?悠希っ!?」


すみれ荘を一通り掃除し終えて自分の部屋に戻ると、
玄関でご主人様の帰りを待っていた愛犬のように、悠希が抱きついていた。


榊原悠希。

私の旦那様です。


「もう、一人で出歩いちゃダメだよ?赤ちゃんだっているんだから」


悠希の過保護も、相変わらずです。


結婚して早2年。

すみれ荘を建てて、
みんなとの暮らしを再スタートさせて、1年半。

私たちが高校時代に暮らしていた、
すみれ荘の寮は、
千尋と零士が卒業してすぐ、
取り壊されてしまったらしい。


だから、もう一度建てたのだ。
最初は、悠希と2人で住むはずだったけど、みんな集まってくれて、

気づいたら、すみれ荘というアパートができていた。


私は、本当に幸せ。


またこうして、大事な仲間と暮らせている。

そして、家族ができる幸せ。

家族って、当たり前のようで、
全然当たり前じゃない。


両親がつけてくれた私の名前。

"すみれ"


花言葉は、ささやかな幸せ。


お母さん、お父さん、
空から見ててくれているかな?

私ね、もうすぐお母さんになるんだよ。


お母さんが私にくれたように、
私も、お腹の子をたくさんの愛で抱きしめるから。




子供の名前は、もう決めている。


女の子なら、笑莉佳。


いつでも笑顔を絶やさぬよう。


そして、

エリカの花言葉は、




───── 幸福な愛。



私は今日も7人の王子様に囲まれ、
幸せを築いていく。




おわり ────。