「すごいね…!すごい上手!」
完成したものは、
クマのぬいぐるみだった。
しかも、架神君手作りの。
静かで、落ち着いていて、可愛い妹さんにぴったりなプレゼントだと思う。
「そんなん言われたら、照れるわ。せやけど、すみれちゃんのクマの方がべっぴんやな」
架神君は照れたように言う。
そうは言うけれど、架神君のぬいぐるみは、とても初めて作ったとは思えないほど綺麗にできていた。
「そんなことないよ〜?あ、じゃあこれ架神君にあげる!」
私は自分で作ったぬいぐるみを架神君に差し出した。
「えっ?もらってええの?」
「だって、すっごく頑張ってくれたから…それに、架神君にプレゼントしたいから。はい」
架神君は、申し訳なさそうにしながらも、ぬいぐるみを受け取ってくれた。
「ほんま、ありがとう。すみれちゃんだと思って、大事にするわ!」
架神君はそう言って屈託のない笑顔で笑う。
裏表がなくて、素直で、眩しくて。
逆に私がお礼を言いたいような笑顔だった。