ルームシェア~7人の王子様~



「……そろそろ、バスの時間だ。俺、行くね」


一ノ瀬先輩が腕時計に視線を落としながら言う。


「ちゃんと、飯食って下さいよ」


琉生君が、どこか寂しそうにそう言う。


「うん。食べる」


「絶対、また来てくださいね。メールして下さいね!」


高城君も、無邪気な笑顔を浮かべながら手を振った。


「うん、絶対。それじゃあ、また」


一ノ瀬先輩は、控えめに手を振ると、
踵を返した。



ずっとそばにいてくれた一ノ瀬先輩。

最初は、無愛想で絡みづらいって思ってたけど、ホントはすっごい優しくて…。

遊園地では、お兄ちゃんをしっかりこなしてて、でも、どこか可愛くて。

先輩から、いろんな大切なことを教えてもらった。

傷つけてしまったこともあったけれど、
最後に味方になってくれたよのは、
先輩だった。


私は、小さくなっていく先輩の背中を、
見えなくなるまで見つめた。