ルームシェア~7人の王子様~



「家族に…なりたいんだ…」


悠希の声で、私はハッとする。


「えっ?ごめんよく聞こえな…」


「すみれと、家族になりたいんだ。もう、寂しい思いさせたくないから」


まっすぐな悠希の視線。
私は、悠希の言葉を飲み込めずにいた。


「……えっ?」


「ずっと一緒にいて欲しいんだ。だから、これ…」


悠希は手に持っていた小さなケースを開ける。
その中には、ペアリングが入っていた。


「すみれが学校卒業したら、一緒に暮らそう」


「うそ……」


私の頬に涙が伝う。

なにこれ、不意打ちすぎるよ…。

ずっと、一緒にいれるってこと?
一人にならなくて、いいの?


私は鼻を啜りながら首を縦に振る。


「ありがと、悠希っ………」


私はまた悠希に抱きついた。



ずっと、自分だけが不幸だと思ってた。
一瞬で大切なものが全て消えて、
なにもかも失って。

でも、違った。

すみれ荘には、たくさん問題を抱えた子たちがいて、傷つきながら、ここまでやってきた。

私は、不幸なんかじゃなかった。

こうして、大切な人と、大事な仲間に出会えて。


幸せを叶えてくれる神様って、
本当はいるのかもしれない。