ルームシェア~7人の王子様~



「悠希ー?いるー?」


その時、
俺を呼ぶ声と一緒に、部屋の扉がノックされた。

その声は考えるまもなく、すみれだということが分かる。


「いるよー」


返事を返すと、ガチャリと扉が開いて濡れた髪を垂らしたすみれが入ってきた。

こうして、部屋にすみれを招き入れるのも久しぶりのことだった。


「ごめんね、疲れてるのに」


「ううん。どうしたの?」


すみれは後ろ手に扉を閉めると、
俺が座っていたベッドの隣に、
ちょこんと腰掛けた。


「あのね、おめでとうって、一番に伝えたかったけど、伝えられなかったから…」


「ん?」


すみれは、明らかに挙動不審になっていて、
顔を真っ赤にしていた。


「あのね、だから…」


「どうし ────」


言葉を続けようとしないすみれをのぞき込もうとすると、突然、
すみれが前かがみになって、俺の唇に唇を重ねた。


驚いて、ただ目を見開いていると、
すみれは真っ赤な顔のまま見上げるように俺を見つめていた。


「プ、プレゼント…私じゃ…ダメ…?」


すみれの言葉に、
俺の頭の中でヤカンが沸騰するような音が響いた。