ルームシェア~7人の王子様~



「いや〜。すみれ荘も、もうできて2年が過ぎるのか〜」


悠希が話を逸らすように、
しみじみと言う。


「早いなぁ〜。今でも全然覚えてるよ、悠希がすみれ荘作った日のこと」


凛空先輩も嬉しそうに話を継いだ。

卒業式後って、必ず出逢いの話をするよなぁ〜。
私も、中学の卒業式の後はみんなとそんな話もしたっけ。

私は、すみれ荘の創立の話に聞き入る。


「悠希先輩が、寮の中庭からロケット花火を打ち上げたんでしたっけ?」


琉生君も呆れ顔で言う。


「そうそう!あれ面白かったなぁ〜。そのせいで本館の寮追い出されてさ、凛空と一緒にこの寮作ったんだよね」


「なにがねぇ〜なんだよ…」


「こんな人が生徒会長でよく大丈夫だったな……」


凛空先輩と琉生君から口々にディスられる悠希。

やっぱり、悠希は寮長でも元生徒会長でも、イジラレで親しみやすいんだよね。

改めて、悠希の周りからの信頼の厚さを実感する。


「でも…そのお陰で、みんなに出逢えた」


腕の中で眠るハスミンを撫でながら、
一ノ瀬先輩がうっすらと笑みを浮かべながら言う。


「そう考えると凄いですよね。すみれ荘がなかったら、きっと、俺たち話したこともなかったんだって思うと、奇跡ですよね」


鈴屋君も気持ち嬉しそうに話す。

両親が亡くなって、
いつまでたってもウジウジしている私を、
ここまで立ち直らせてくれたすみれ荘。
そして、すみれ荘のみんな。

本当に、奇跡だ。