『おめでとうございまーす!!』
夜、すみれ荘にて。
今日は卒業式だったということで、
すみれ荘でも、ちょっとしたお祝いをしていた。
「先輩ー、唐揚げとってください」
「千尋ー、野菜もたべろよ?」
楽しそうに食事を囲むみんな。
卒寮まで2日。
こうやってみんなで夕食を囲むのも、
あと2回なんだ…。
「あ、そうだ。この際だから言っておくけど、新しい寮長は琉生だから」
「えっ?」
悠希の唐突な言葉に、
琉生君が目を見開く。
そっか、寮長も決めなくちゃいけなかったんだっけ。
でも、琉生君ならちゃんとこなしてくれそうだけど……。
「すみれ荘に入ってくるやつは、お前らが勧誘しない限りはいないけど、寮長くらいは作っとかないとな」
悠希は、なんでもないように言う。
「ちょっ、なんで俺なんすか。誠也がいいと思いますけど」
「はい、拍手」
パチパチと拍手がおこる。
琉生君の抗議はなかったことにされて、
あっけなく寮長が決まった。


