「うわ…流石人気者…」
有紀が顔を引きつらせる。
悠希や凛空先輩、一ノ瀬先輩は、
人ごみにまぎれて見えなくなってしまった。
「しょうがないね…。私は、すみれ荘でも会えるから…」
私は力ない笑顔を浮かべた。
本当は、私が一番に
おめでとう
って言いたかったけど……。
そりゃあ、悠希も凛空先輩も一ノ瀬先輩も、隠れファンはおろか、堂々とファン宣言している子だって、学年問わずいる。
だからしょうがないよね。
一緒に住んでいるだけでも満足できないなんて、私、ダメな子だ……。
と、その時、
人混みをかき分けて、
茶髪の長身が近づいてきた。
手には沢山の手紙や花束を手にしていて、今日は一段と輝いて見える、悠希。
なんで……私のところに…
呆然としていると、
悠希は笑顔のままだんだんと近づいてくる。
みんなの視線が私に集まる。


