『私たち311名は、本日をもって────』
講堂全体に、生徒代表である悠希の声が響きわたる。
今日は、悠希たちの卒業式。
全然…実感ないけど…。
「あーあ!先輩たち、本当に卒業しちゃうんだね〜」
卒業式が終わり、
先輩たちを見送るために中庭に集まっていると、ふと、有紀が言った。
「そうだけど…どうしたの?」
「うーん…すみれはどうすんの?悠希先輩との、これからのこと」
「これからのこと…?」
有紀の言葉に、目を丸くする。
これからの、悠希とのこと…。
その時、
キャァア!と女生徒から黄色い歓声があがった。
ビックリして視線を向けると、
そこには、見慣れたすみれ荘の3年生組が歩いてきていた。
「あ、噂をすれば!!ほら、愛しの彼氏が来たよ」
有紀に肘でつつかれる。
「あっ…う、うん…」
私が一歩踏み出したとき、
たくさんの女の子が私の前に来て、
あっという間に視界を遮ってしまった。


