ルームシェア~7人の王子様~



私はまた星空を見上げた。


「ありがとう、鈴屋君!私、自信が湧いてきた!」


私は、今度こそ心からの笑顔を鈴屋君に向ける。


すると、鈴屋君は私からサッと視線を逸らした。


「?」


私が首を傾げると、鈴屋君がボソりと言った。


「泣いたり、笑ったり…。先輩といると、なんか、すげぇ変な気持になるんです。俺」


「へっ、変な気持!?」


私は素っ頓狂な声を上げる。


「あっ、変な意味じゃなくて。こう…なんて言うか…理論じゃ説明がつかないような事ばっかで…。ほんと、変ですね、俺」


鈴屋君は、可愛い笑みを浮かべた。

普段がクールなだけあって、
すごく違和感かも…。


「…あ、でも、来年になったら今度は、俺と千尋君だけになっちゃうんっすね」


鈴屋君は思い出したように言う。


「あ…そうだね。私も、琉生君も架神君も卒業しちゃうんだよね」


そっかぁ…。
私もいつか、すみれ荘を出ていくときが来るんだ…。


「そうなったら、きっと俺も落ち込むと思うから、偉そうなこと言えないっすけどね」


鈴屋君は自嘲的な笑みを浮かべた。

でも、私たちがいなくなると悲しいなんて、
なんかちょっと嬉しいかな…。


「じゃあ私、留年しちゃおっかな?」


私が冗談めかして言うと、
鈴屋君もクスッと笑う。


「そしたら、もう先輩じゃなくて、すみれ、ですね」


「そうだね〜。じゃあ零士君だね」


「いいっすね。ってか、ちゃんと卒業して下さいよ」


星空の下、
私と零士君の話し声が、
澄み切った世界に響いていた。