「卒業……かぁ…」
みんなが寝静まった夜中。
私は、明日が卒業式だというのに、
全然寝付くことができなくて、
ホットココアを片手にバルコニーへ出た。
今日は星が綺麗だ。
私の呟きは、冷えきった空に白いモヤを残して消える。
明日で、卒業。
明日で、書面上は3年生組はすみれ荘の寮生ではなくなる。
卒寮にはまだ少し時間は有るけれど、
もう、残された時間も少ないんだ…。
この8人で過ごせるのも、
あと少し…。
と、その時、背後から声がかかった。
「すみれ先輩…?なにしてるんすか?」
ビクッとして振り返ると、
珍しくメガネをかけた鈴屋君が怪訝そうに私を見ていた。
「あっ、鈴屋君。見て見て、星が綺麗だよ」
私は手招きをして、鈴屋君をバルコニーへと誘う。
鈴屋君は、一瞬びっくりした後、私の隣へやってきた。


