ルームシェア~7人の王子様~




「じゃあこれで、凛空先輩は教師の夢に一歩近付いたってことなんですね」


みんなで囲む夕食。
高城君が嬉しそうに言う。


「まぁ、まだ大学合格しただけだけどね。本当、いろいろあっただけ、嬉しいかな」


凛空先輩も嬉しいようで、
照れくさそうにそう言った。

先輩は、ずっと小学校の先生になりたいって言っていたから、そりゃあ、嬉しいよね。


「悠希先輩は、大学で何するんですか?」


鈴屋君が悠希に尋ねる。
そう言えば、私も聞いたことなかった…。


「経営についてかな。いつか親父継がなきゃいけない訳だしさぁ」


悠希は大きくのびをしながら答える。

そっかぁ…。

悠希は、ここの学校の理事長になるのか…。

私は改めて感心する。


悠希は、生徒会長もやっていた訳だから、きっと生徒に寄り添った学校経営が出来るんじゃないかな〜。


「でも…俺も、やりたいこと見つけたってかさ〜」


悠希は語尾を濁す。


「えっ?やりたいこと…?」


私は、斜めに座る悠希を見据える。


「…また今度ね!」


悠希はそう言うと立ち上がった。


「よっしゃあ!明日は卒業式だし、みんな万全に準備しとけよ!」


そう言い残して、悠希はリビングを出ていく。

あれ…?なんか、隠された…?

私の心をモヤモヤが包む。


「あ!悠希先輩〜!俺と風呂行きましょうよー!」


悠希の後を追う高城君の背中をボンヤリと見つめながら、私は凛空先輩お手製の唐揚げを頬張った。