ルームシェア~7人の王子様~



「すっみれぇー!!!」


すみれ荘の玄関をくぐるなり、
悠希が手を広げて私に飛びついて来る映像が、スローモーションで繰り広げられる。


でも、悠希のスキンシップは、
高城君によって阻止された。


「悠希先輩ー!!」


高城君は、私と悠希のあいだに入って悠希を抱きとめる。


「ちっ、千尋っ…!お前じゃない!」


高城君の力は強いようで、
悠希が引き剥がそうとするけれど、動かない。


「先輩!!受かったんですね!?あはは!先輩でも受かるんですね!?あはは!!」


「ち…ちひ……」


高城君は嬉しそうに飛び跳ねる。


「悠希のHPが…」


一ノ瀬先輩の言葉に、悠希に目を向けると、悠希は高城君のハグに衰弱しきっていた。


「合格発表から帰ってきてそうそう、千尋君に抱きつかれたら、誰でもそうなりますよ」


鈴屋君も苦笑いで言う。


私もつられてクスリと笑う。


でも、私の心の中から、
ザラザラした感覚は消えなかった。

その正体はとっくに分かりきっていたのに、

今が楽しくて、
私はその思いを胸にしまった。