デパートに着いた時には既に1時を回っていた。
「どんなものにするかは、だいたい決まってる?」
デパートの地図を見ながら、
私は架神君に尋ねる。
「せやなぁ…。やっぱり、中学に上がっても使えるものがいいかもなぁ」
中学に上がっても使えるものかぁ…。
う〜ん…
2階のフロアの地図に目をやる。
文房具屋さんに本屋さん。
定番は文房具だけれど、
友達からもらう誕プレのほとんどが文房具だった思い出があるから、
避けたほうが無難だと思うし…。
私たちは一先ず3階にあった、
女子小学生に人気だという雑貨屋さんに入った。
「うぉぉ…」
飾られた大きなクマのぬいぐるみを見て、架神君が声を上げる。
「なんでこんなのが好きなのかよう分からんわ……」
「えー?すっごい可愛いじゃん、ふわふわだよ」
私は、ふわふわのぬいぐるみを、
触ってみせる。
「………」
架神君は私の言葉に、
訳がわからないといった様子で苦笑いしている。
「あ、じゃあこっちは?」
私が指差したのは、口からはみ出すほど大きな前歯をしたうさぎのぬいぐるみだった。
「キッショ…」
架神君はそれも引きつった笑顔で見つめている。
女の子と男の子の感性って、こうも違うものなのだろうか。
それから私たちは、店内を一回りする。
私は可愛い物を見つけるたびに声を上げるが、
当の架神くんは納得がいかない様子で若干引いていた。


