先輩には、本当に感謝しているし、
すっごく大好き。
でも、やっぱり、悠希しかいなかった。
それが、私の答えだったから。
ふと、一ノ瀬先輩と目が合う。
先輩は一瞬びっくりしたように目を見開くと、優しく微笑した。
先輩も、私の答えを応援してくれている。
そんな先輩が、本当に大好きだった。
「先輩、本当にあの店に就職するんですか?」
高城君が、少しニヤニヤしながら言う。
「……まぁ…店長に無理矢理だったんだけどね…」
先輩もややひきつった笑で返す。
つい先日の話。
先輩はバイトのことも、バイト先のことも、全部みんなに話したのだ。
幕末喫茶なるもので働いている話には、
流石にみんな驚いていたけど…。
だって、この人見知りの大先生が、
コスプレ喫茶でバイトだなんて…。
でも、未だに先輩だということに気づかずに、
幕末喫茶にハマっている有紀から拝借した働いてる先輩の写真を見て、
みんな納得していた。
まぁ、あんなに似合った着物姿と、
端正な顔を見たら、なにも言えないよね…。


